宮城県図書館だより「ことばのうみ」第39号 2012年3月発行 テキスト版
おもな記事。
巻頭エッセイ『読書は「心の栄養」』東北大学教授 川島隆太。
東日本大震災から早くも1年が経過しました。震災で犠牲になられた多くの方のご冥福を改めてお祈りいたします。震災の爪痕で今なお苦しんでいらっしゃる全ての方々が前を向いて暮らすことができる社会を取り戻すため、皆様と一緒に、できる事から全力で取り組みたいと思っています。
発災後、沿岸部の避難所を訪問する時には、私も研究室のスタッフも、私の部屋の本棚に並んでいた子ども向けの本を携えて行くようにしていました。インターネットやスマートフォンの普及により老若男女を問わず読書離れ・活字離れは深刻であるとの現状認識をしていましたが、争うように本を手にして、読みふけっている子ども達を見て、活字は水や食べ物と同じくらい大切な心の栄養なんだとの思いを強くしました。
亡くなった子どもの為にもらっていいですかと、女性が幼児向けの本を持っていきました。天国のお子さんにお母さんの読み聞かせの声が届いていますように。
(かわしま・りゅうた 東北大学教授)
著者のご紹介。
川島隆太
かわしま・りゅうた。東北大学教授。1959年千葉県生まれ。仙台市在住。東北大学医学部卒業後、同大学院修了。東北大学加齢医学研究所助手、講師を経て、現在は同研究所教授。人間の心の働きを画像化する脳機能イメージング研究が専門。著書に「さらば脳ブーム」(新潮新書)、「自分の脳を自分で育てる」(くもん出版)など多数。
特集 宮城県図書館ツアー ~ようこそ宮城県図書館へ~
宮城県図書館では情報発信推進の一環として、学校や市民グループなどを対象とした図書館施設見学を行っています。
施設見学では多くの方に図書館のサービス内容や機能を知ってもらうとともに、県立図書館としての役割など各種事業を紹介しています。また、普段一般の方は立ち入ることの出来ない「閉架書庫」を案内し、美術全集や明治・大正期の新聞などの資料を実際に手にとって見ていただいたり、電動書架を実際に動かしていただいたりしています。
今回の特集ではツアーの見どころを取り上げるとともに、多く寄せられる質問についてご紹介します。
レファレンスサービス
「レファレンスサービス」とは利用者のみなさんから質問・相談を受けて、調査・研究のために必要な資料の紹介や、資料を探すためのお手伝いをすることです。図書館司書が蔵書検索システムやデータベース、索引などを使ってお探しの資料を調査して利用者に供しています。図書館資料の貸出サービスとは違い、利用したことのない人にとってはあまり馴染みのないサービスかもしれません。そのためより多くの方に利用していただけるように施設見学時にもご紹介しています。
超大型本コーナー
『正式二万分一地形図集成 東日本』(柏書房 2001年)といった地形図や『広重名所江戸百景』(岩波書店 1992年)といった美術本など様々な種類の本を保存しています。当館所蔵の一番重い資料には『朝鮮半島五万分の一地図集成』(学生社 1984年 46×63センチメートル 重さ約20キログラム)があります。
書架12架(23列)分の資料が超大型本として登録されています。
マイクロフィルム
3階新聞・雑誌室、みやぎ資料室はマイクロフィルム約17000本を所蔵しています。マイクロフィルムは資料の現状を記録するとともに、閉架書庫のスペースを効率的に活用するために作製しています。その作成方法は、新聞(原紙)をフィルムに1枚ずつ撮影しています。マイクロフィルムは専用の保存棚に収蔵し、適切な温度・湿度のもとで管理しています。100年から500年の寿命があると言われています。
電動書架
4階閉架書庫は全て「電動書架」で構成されています。その名のとおり「電動式の書架」です。普段は「集密書架」(限られた場所により多くの資料を収容するために考えられた書架。可動式にした書架と書架の間隔を詰め、資料を取り出すために必要な部分の通路だけを開けられるようにして数多く収容することが出来るようにした書架群のこと)としての役割も果たしています。当館では約105万冊の資料を所蔵しています。その内約80万冊はこの3・4階の閉架書庫に収蔵しています。閉架書庫の資料を利用するときには、レファレンスサービスでご利用いただくか、直接蔵書検索をしてカウンターにお申し込みいただいています。
搬送機
利用者から申込みのあった資料を早急にお届けするために、1階から4階までの館内各所に搬送機を設置しています。緑の箱が搬送箱。この箱に資料を入れ各カウンターへと送付しています。
施設見学の様子
今年度は宮城県米山高等学校や大崎市立上野目小学校など1月末現在で24の団体が見学にいらっしゃいました。写真は泉館山高校の生徒さんの見学の様子です。
夏休み中には高校の図書委員会の生徒さんが図書館の仕事を学ぶため、9月から10月には小学生が遠足で多くいらっしゃいます。
4階閉架書庫に保存してある新聞を見学している様子。当館では『河北新報』だと明治30年(1897年)4月のものから所蔵しています。
夏休み図書館親子ツアー
宮城県図書館では毎年8月に「夏休み図書館親子ツアー」を実施しています。
この「夏休み図書館親子ツアー」は小学校低学年の子ども達とその保護者を対象とし、行っているものです。目玉として、ツアー時にしか立ち入ることの出来ない場所や見ることの出来ない資料、職員の仕事の様子を紹介し「図書館の裏側」を探索していただいています。今年度は「しかけ絵本」や館内の壁面や柱に埋まっている「化石」を紹介しました。
ツアーの感想(一部抜粋)として
おもい本とかふるい本がみれて、とてもうれしかったです。(1年生 男の子)
たくさんの本を選ぶための工夫や、収納するための開架書庫があるという事を教えてもらえて、子どもにとっていい経験になったと思います。(保護者 お母さん)
といったご意見をいただきました。
宮城県図書館Q&A
施設見学時にはさまざまな質問をいただいております。その中からいくつか質問をご紹介いたします。
- Q1:宮城県図書館には年間どのくらいの人が来館しているのですか?また何冊くらい本を貸し出ししているのですか?
- A1:平成21年度は年間でおよそ50万人が来館しています。1日あたりに換算するとおよそ1700人弱になります。また1年間の個人貸出数はおよそ90万冊です。こちらも1日あたりに換算するとおよそ3000冊になります。
注意:平成22年度は年間でおよそ46万人が来館しています。個人貸出数は82万冊です。但し東日本大震災の影響で3月12日から5月12日まで延べ62日間休館しました。
- Q2:宮城県図書館はとても広い建物ですが、どのくらいの広さなのでしょうか?
- A2:面積は、およそ18100平方メートルです。これは楽天イーグルスの本拠地であるクリネックススタジアムのおよそ3分の2の大きさです。長さは東西200メートル、南北30メートル、高さ25メートルあります。
- Q3:宮城県図書館ではどのような催しものがありますか?
- A3:毎月第2週と第4週に2階ミニシアター青柳館でDVDやビデオの上映会を行っています。また2階子ども図書室で毎週金曜日、土曜日、日曜日に絵本の読み聞かせを行っています。その他にも2階展示室では常設展・特別展・企画展を開催し、図書館資料との出会いの場を設けています。
- Q4:読みたい本が宮城県図書館にない場合はどのように対応していますか?
- A4:リクエストを受け付けております。(ただし、全てのご希望には添えかねますので予めご了承ください。)また、県内や全国の図書館に希望の本がある場合は、その図書館から借りることが出来ます。3階調査相談カウンターにご相談ください。
- Q5:働いている人は何人いますか?どのような仕事がありますか?
- A5:約80名の職員が働いています。(うち正規職員は40名)主な仕事は、資料の貸出、返却の他、購入する資料の選定・整理、レファレンスサービス、資料の相互貸借を行っています。その他にも展示会の企画、広報、ホームページの運営など様々な仕事があります。上で紹介した職員の他にも事故の発生の警戒・防止のため図書館の内外の見回りをする警備員、利用者に図書館を気持ちよく利用してもらうため館内の掃除をする清掃職員などたくさんの人が働いています。また、ボランティアとして、本を並べる作業や絵本の読み聞かせ、展示室の案内等を協力してくださる方もいます。
- Q6:どのような種類の本が多いですか?
- A6:日本十進分類法(NDC)というルールに基づき10のテーマに分け、本を並べています。物語や詩など9類と呼ばれるものが一番多いですが、そのほかにパソコン関係、宗教、歴史、地理、伝記、社会に関すること、自然に関すること、医学や洋服、食べ物、電気、絵、音楽、言葉に関することなど多種多様な本があります。
叡智の杜レポート。蔵書点検を実施しました。
1月26日(木曜日)から2月1日(水曜日)まで宮城県図書館では特別整理期間としてお休みをいただき蔵書点検を行いました。蔵書点検とは、図書館で所蔵している資料が本来あるべき場所にあるかどうかを確認し、行方不明になっているものがないかを点検する作業のことをいいます。書店でいう棚卸しのようなものです。行方のわからない資料については再度購入するかどうかの判断をします。
点検では、本やCD等に貼ってあるバーコードをハンディターミナルと呼ばれる専用の機器を使って一点一点読み込んでいき、そのデータで資料の状態を確認していきました。また、表紙が破れた本等の修理や、書架の清掃といった開館中はなかなか出来ない作業も、この期間中に行いました。
今年度は開架書庫にある資料を中心に、全蔵書の3割にあたる約30万冊を対象として点検をしました。その結果、不明資料、破損資料それぞれ約1000冊であることがわかりました。
県民の皆様にはご不便・ご迷惑をおかけしましたが、今回の蔵書点検で皆様が必要とされる資料をより迅速かつ適確に提供出来るようになりましたので、さらに多くの方のご来館・ご利用をお待ちしております。
図書館からのお知らせ。
特別展「絆の証し-東日本大震災文庫展-」開催中です。
東日本大震災から一年という節目にあたり、あらためて当館が国内外から受けた支援について紹介するとともに、「東日本大震災文庫」として全国から寄贈された資料を展示します。避難所の申し送り帳や店舗再開のお知らせなどの資料から、震災時の被災地の状況や復旧の過程を辿ります。
また、震災以降当館が重点的に取り組んできた、市町村図書館・公民館図書室への支援の様子についてもご紹介します。すべてが流失した南三陸町図書館や、建物が危険判定を受けた名取市図書館の支援活動の様子をまとめた、写真パネル等を展示します。
- 期間:平成24年2月11日(土曜日)から平成24年7月20日(金曜日)まで
- 時間:図書館開館日の午前9時30分から午後5時まで
- 場所:図書館2階 展示室
- お問い合わせ:企画協力班(1階)電話番号:022-377-8445
「東日本大震災」関連の記録や資料をご寄贈ください。
宮城県図書館では「東日本大震災」の記録や関連資料の収集を引き続き行っています。
- 収集部数:可能であれば3部の寄贈をお願いします。(電子データは1部で結構です。)
- 寄贈方法:ご持参いただくか、下記送付先にお送り下さい。郵送の場合、送料はご負担いただきますようお願いいたします。なお、ご寄贈の際は、「東日本大震災関係資料送付書」(本館ホームページからダウンロード可)を記入し、資料と合わせて送付願います。
- 送付先:郵便番号981-3205 宮城県仙台市泉区紫山1-1-1 宮城県図書館 みやぎ資料室
- 問合せ先:電話番号:022-377-8483 ファクス番号:022-377-8494
- Eメール:kyoudo@library.pref.メートルiyagi.jp
- ホームページアドレス:http//www.library.pref.メートルiyagi.jp/
今回はご寄贈いただいた資料のうちの何点かをご紹介します。
- 「閖上復興だより」(閖上復興だより実行委員会作成・寄贈)
- この復興だよりは閖上住民の皆さんが、どうすればより多くの人に情報が伝わるかと話し合い、作成にいたった新聞です。閖上のお店の情報やお友達の顔などが載っているので、閖上の方々からは大変喜ばれているとのことです。今回の震災の様な災害時にこの様な新聞・情報誌は大きな効果を発揮します。
- 「震災直後の避難所(南三陸町立志津川中学校)の写真」(志津川中学校総括主幹兼事務長三浦秀一氏より寄贈)
南三陸町は東日本大震災で壊滅状態となり、人口の半分以上である1万人以上の町民が行方不明であると報道されるなど、街全体がパニックに陥りました。
写真は東日本大震災直後の避難所の様子を撮影したものです。職員室の黒板には中学校を含む近隣避難所の人数、その日の行動等を記録してあります。
この写真は災害時の避難所運営の様子が記録されている大変貴重な資料です。
この他にも避難してきた町民の様子、炊き出しの様子、街の風景など合わせて400以上の写真をご寄贈いただきました。
なお、今回ご紹介した資料は当館展示室で開催中の特別展でも一部展示しております。ご来館の際には是非ご覧になってください。また展示している資料の他にも多くの方から震災に関する資料をご寄贈いただいております。この場を借りて改めて御礼申し上げます。
この「ことばのうみ」テキスト版は、音声読み上げに配慮して、内容の一部を修正しています。
特に、句読点は音声読み上げのときの区切りになるため、通常は不要な文末等にも付与しています。
「ことばのうみ」は、宮城県図書館で編集・発行しています。
宮城県図書館だより「ことばのうみ」 第39号 2012年3月発行。